<飲酒運転>懲戒免職は裁量権を逸脱 元教諭勝訴 福岡高裁

<飲酒運転>懲戒免職は裁量権を逸脱 元教諭勝訴 福岡高裁
2009年8月5日14時6分配信 毎日新聞

 飲酒運転などを理由に懲戒免職処分となった佐賀県立高校の元教諭(39)が、「裁量権の逸脱・乱用があり違法」として、県の処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が5日、福岡高裁であった。森野俊彦裁判長は、元教諭の請求を認めた1審・佐賀地裁判決(08年12月)を支持し、県側控訴を棄却した。

 1審判決によると、元教諭は06年7月13日夜、佐賀市のホテルやスナックでビールや日本酒を飲んだ後、自分の車で約30分仮眠し、14日未明に車で帰宅した。その際に運転を巡るトラブルがあったことなどから、同日早朝、佐賀署の交番に呼び出され呼気検査を受け、呼気1リットルあたり0.07ミリグラムのアルコールが検知された。道交法の酒気帯び運転(呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上)にあたらず、検挙はされなかったが、県教委は同月20日、「飲酒運転をした教職員は免職」との指針を基に、元教諭を懲戒免職とした。

 地裁は「懲戒免職は公務員にとって『死刑宣告』にも等しい究極の処分で、慎重に選択されるべき」と指摘のうえで、指針について「飲酒運転を『道交法の酒気帯び運転以上のアルコール量を体に保有した状態』と解釈しない以上、裁量権を逸脱・乱用している」と判断。鑑定を基にした「運転時のアルコール濃度は基準を超えていた」との県側の主張を、「裏付け証拠のない推定で、信用できない」と退け、「処分は違法」と結論づけていた。【和田武士】

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